約 220,433 件
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/861.html
私、ニビルは無事だった あれだけ悲劇風味の展開を重ねておいてそれかい!とか突っ込まないで欲しい 認めたくない事だが、結局機械の体である以上、破損した箇所は取り替えてしまえば良いのもまた事実だった 特に、私のオーバーロードは、「オーバーロードの使用」それ自体には何のペナルティも無い 単に、ストラーフの主力武装の殆ど、武装神姫の素体直付けパーツの使用に制限があるだけである 無論、もしかしたら他にも何か見えないペナルティがあるのかも知れないが 顕現しないものの事まで考えていても仕方が無いというのが私の結論だった ズタズタになった神経系を修復し、新しい四肢に慣れるのに数日を要したが、あとはいつも通り。決勝リーグに向けての調整を重ねるのだった 「Somewhere Nowhere」 「・・・じゃぁ、姉さまが今迄強化パーツを使わなかったのは?」 「そうだよ、ニビルの体に宿ったオーバーロードが拡張端子の使用を困難にしてるのさ」 逆さまにひっくり返った状態で、ヌルはキャロの話を聞いていた 場所は槙縞玩具店の地下にあつらえられたリアルバトル用演習場である・・・本来はここも、槙縞ランキングの主要舞台の一つとして使用される予定だったらしいが、何故か皆川はバーチャルバトルに拘りを持っていた 愛玩派オーナーの参入も促しやすい事と、別にバーチャルバトルだからといって不平不満を述べる神姫も特に居なかったので、この演習場は放置され、時折ヌルやクイントス等が練習に使っているだけの施設に成り下がっていた 本来なら電動薬動の様々なギミックが盛り込まれていたのだが、天井の照明すら入っておらず、手入れも全くされていない様子であり、その種のギミックも全くの稼動不能状態である 「何で今迄言ってくれなかったんだろう・・・」 体を起こし、明確に不満を顔中に表すヌル 「あんたに話す必要がないと考えた理由ってんなら判らないでもないがね」 ヌルの肩にタオルをかけつつ、呟くキャロ 「拡張装備を使わずに・・・つまり普通に考えたら圧倒的に不利な状態で勝つ。そういう格好良い所をあんたに見せたかったんだよ。多分ね」 「いっつもそうだ・・・姉さまは・・・私は別に、姉さまの欠点だって含めて姉さまの事を愛せる自信があるのに・・・」 タオルで顔まで隠して蹲る 「惚気は良いけどさ・・・あんただってあるだろ?そういうの」 「どだいからして、準決勝でニビルと互角以上に戦う為に秘密特訓ってのも充分過ぎる程格好付けだと思うけどね、あたしゃ」 「・・・・・・」 確かに、並み居る強豪を押しのけて、準決勝でニビルとヌルが当たるというのは、両者の実力から考えて相当無理がある事を、ヌルはやはり知覚していた ニビルはまだオーバーロードがあるから良いが、ヌルは実戦経験という観点に於いて華墨とほぼ同等の新人であり、コネによる恵まれたトレーニング環境と、華墨のものほどまだ明白ではないが、ゆらぎ由来の密着格闘戦における天性のカンの良さで、幸運の女神に拾われたに過ぎない いざ戦闘になったら、どう考えても『ズィータ』や『ウインダム』には勝てないし、『ストリクス』『タスラム』相手では戦闘と呼べるものになるかすら怪しく、『仁竜』には得意距離における戦闘経験値に差がありすぎた (結局私は・・・あいつに勝つので精一杯なのか・・・) 『ジルベノウ』に勝った事実を、実感として明確に受け入れる事が彼女には出来ていなかった と、いうよりも、あの瞬間のヌルの戦力というのは実は相当な強運に恵まれた上での物に過ぎない事に、彼女自身が何よりも気付いていた (姉さまへの愛で私の心が満たされていたって、空を飛んでいる相手は降りてきてくれないし、長距離砲撃が出来る相手は近づいてはくれないよなぁ) 結局それまでの戦闘プランそのものが脆弱過ぎるのだ・・・だからここ数日、ヌルは新しいスタイルの模索を始めていた 憧れた銃撃戦のみでの戦闘スタイルを諦め、重装甲と白兵戦闘能力をより重視したスタイルへの転換・・・ 徐々に自分が嫌っている「あいつ」・・・つまりは華墨のスタイルに近付いていくのが厭だった 「体のほうは、もう良いのか?」 トレーニングを再開したニビルに話しかけるクイントス 「ええ、大丈夫よ・・・それにしても流石は、『私に挑む為にこの一連の闘いを経て君達がさらに強くなってくれるなら』なんて真顔で言うだけの事はあって余裕ね。別に貴女に心配される謂れは無いわ」 「・・・自分を偽っても仕方あるまい。どんなに繕おうと、自分は自分以外の誰かになどなれはしないのだからな・・・」 「・・・・・・っ!説教がましく言わないで・・・遅れを取り戻すのにこっちは必死なのよ」 「・・・済まない、邪魔をしたな・・・」 クイントスにとっては自分自身を含めて、あらゆる武装神姫の価値基準はただひとつ、「どれくらい強いか」なのであろう 自分自身もそう思われ、そういう風に値踏みされているであろう そういう考えは半ば被害妄想的ですらあったが、「どれだけ頑張っても武装神姫は武装神姫」という強固なクイントスの信念が、彼女の立ち振る舞いに現れ、貫かれるべき根幹を成しているのもまた事実であった そして、その点がまさしくクイントスを嫌う最大の理由なのではないかと、最近ニビルは気付き始めていた 彼女の誇る「完璧さ」は自分の目指そうとしている世界の扉を閉じてしまう・・・そういう厭な予感 彼女のあり方が武装神姫のあるべき姿なのではないかと思ってしまう強迫観念 本人にとっては全く謂れ無き嫌悪であったが、クイントスはニビルにとって、打ち破るべき磐石な、頭の固い常識の象徴であった 『自分の目指すものを否定する存在を嫌悪する』 そう書けば普通かも知れないが、だからといってクイントスの一言一句に食って掛かり、同じ部屋に居る事すら避けようとするニビルの態度はヌルならずとも相当鼻に付いただろう 「・・・やはり、相当嫌われてるのだな・・・」 自分の強さを妬まれ、憎悪される分には却って戦士を自称するクイントスにとって賞賛であったかも知れない だが、ニビルがそういう人格でない事を彼女は知っていた・・・だからこそ余計に、嫌われる理由に思い当たらないあたり、このふたりの関係はやはり良好と言えないものだろう 「やっぱり問題になるのは空中戦だって!装備をもちっと充実させて備えるべきだろ」 「何いってんのよ!むしろ今更慣れない戦術の練習をするよりは長所を伸ばすべきに決まってんじゃない!ばっかじゃないの!?」 「・・・仲良いというか・・・なんだかとても分かり合っているのだな、エルギール、マスター・・・」 「お前の為だろうが!!」(←同時→)「べ・・・っ別にアンタの為じゃないんだからね!!」 「・・・・・・」 エルギールが来た事によって、華墨は決勝リーグ開催迄の間練習相手に困る事は無かった ここで初めて、華墨はエルギールの『まだ誰にも見せていない』公式武装形態を見た訳だが、何故彼女が其処までしてくれたのかについて思いを馳せる事はついぞ無かったあたり、エルギールもかなり報われない神姫である 因みに、琥珀は普通の料理に関してはチョコレート程危険な腕前では無かった事が武士にとって幸運であった事もここに併記しておく 「何にせよ、僕らがここまでしてあげたんだ、そこそこ善戦してくれないと怒るよ」 「わ・・・判りました琥珀嬢!この華墨、この・・・」 丁度太刀を持っていなかったので、手近にあったフィギュアの剣を胸前に構える 「このまどろみの剣(注1)にかけて!無様な闘いはいたしません!!」 「うむ、頑張って来るが良い」 「勝手に俺のフィギュアの剣をかけてんじゃねえ」 決勝リーグは、もうすぐ始まろうとしていた 剣は紅い花の誇り 前へ 次へ 注1 2030年発売の、「ドラゴンクエストⅩⅤアクションフィギュア」No.12「遊び人ポルメ」の付属品
https://w.atwiki.jp/rinshankaihou/pages/18.html
★第1回ギルド乱造大会イベント(ハチガネ名品作るど!) 4/25開催済み 参加者 ジャンポケ・アリネス・sadie・め~たん・メル 見学参加Yomis *残念ながら名品は出ませんでした。 次回持ち越し~優勝は誰の手に!(*1)わくわく ★第2回ギルドイベント〓光沢剤2,000個作るど!〓 5/1開始~5/30(予定) 参加者 ジャンポケ・アリネス・sadie・Yomis・メル *材料を皆で集めて匠に依頼します 現在の材料の状況を随時書き込みます * meruメル ジャンポケ アリネス sadie Yomis 計/必要数 わら 3000/3000 3000/3000 3000/3000 3000/3000 3000/3000 15000/15000 豆 3000/3000 3000/3000 3000/3000 3000/3000 3000/3000 15000/15000 米 6000/6000 6000/6000 6000/6000 6000/6000 6000/6000 30000/30000 ユリの根 2000/2000 2000/2000 2000/2000 2000/2000 2000/2000 10000/10000 オクラ 2000/2000 2000/2000 2000/2000 2000/2000 2000/2000 10000/10000
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/52.html
朝だ…月曜の朝だ。また公に奉仕する5日間が始まるのだ。 ヴェル達はまだ昨日のバトルの疲れからか、まだ眠っている。 起こすのも悪いので、小さく「言ってきます」を言って出かける。 朝7時半、まだ受付開始をしていない市役所の入り口をくぐる。 「おっはよ~ございま~っす…」 「おはよう、岡島君。」 「おう、岡島君、おはよう!まだ寝ぼけとるのか?もっとシャキッとせい! シャキッと!」 あんたのシャキッとぶりが異常だよ…阿内課長。 朝9時、始業のチャイムが鳴る。俺は4.5メートル四方の小さな部屋に、申し訳程度に 置かれたパイプイスに座り会議テーブル2台をつなげたテーブルにおいてある 『予約表』を確認する。それにずらっと書かれている『予約者』。 今の俺の仕事は、厨房工房の子供が居る親の相談員である。 扉を開けて入ってきたマダムの日々溜まっている不安や愚痴を、適切且つ妥当に聞いて、 適切且つ妥当な答えを返してあげる…それを1日平均10件ほど繰り返す…そんな仕事だ。 つーか、20代半ばでまだ子供も居ない独身男にそんな相談員役を押しつけるんだから、 全くココの市政はどうかしている。 もっと異性、特に若い女性との出会いが多い職場にさっさと異動したいものだ。 そうしている内に、一人目のお客様が入ってきた。いかにも「宅の坊やが云々…」 と言い出しそうなPTAな風貌の『奥様』である。 「おはようございます。さて…今日の相談内容ですが…どのような?」 「聞いてくださいな…宅の政則ちゃんったら、15歳にもなって人形遊びに夢中に なってますのよ!」 「ほう…人形遊び?(ドールのことか?)」 「そうですの!今テレビでもやってる武装…なんたらっていうお人形ですの?毎日 勉強もせずにそのお人形に話しかけて居ますの…ああ気持ち悪い! 何でも?聞いた話によると、20・30越えたいい大人までそんな物にムダなお金を つぎ込んでるって言うじゃないですの!?世も末ですわね…!」 「ほう…それは興味深い。(その『いい大人』が目の前に居るんだよ…悪かったな ムダな金つぎ込んでて!)」 と、言ったその時である。 「ふぁ~…よく寝たのだ。あれ?ここはどこなのだ?あ、マスター、おはようなのだ!」 「じゃ…ジャロ…お前…!!」 「な…なんですのこの子…?」 「は…ははは…これが奥様の言っていた『武装神姫』です…。最近、同じような相談が 多い物ですので、後学のために購入を…」 (やばい!非常にヤバイ!ここはどうやって切り抜けるか…) 「あ~ら~!可愛いわね~!お名前、なんて言うの?」 (あれ?) 「ジャロなのだ!イタリアごで、きいろのいみなのだ、マスターがつけてくれたのだ!」 「ジャロちゃんには、姉妹が居るのかしら?」 「おねーちゃんがふたりと、いもうとがひとりいるのだ。おねーちゃんたちはとっても やさしいのだ!でも、いもうとはやさぐれてるのだ!わるいこなのだ!」 ヴェル「くしゅん!」 ノワル「へーちょ」 コニー「でぇぇぇぇぇくしょい!…コンチクショウめ!」 ヴェル「だれか噂でもしてるのかしら…?そう言えばジャロの姿が見えないけど、何処 行ったのかしら…。」 ノワル「ボク知らないよ~?」 コニー「さ~ね。大方でっかいウンコでもしてんじゃないの~?」 それから、ジャロと奥様の歓談が数十分続いた。俺はとりあえず、 「息子さんの神姫とも話して見てあげてください、多分、息子さんの気持ちが理解できると 思いますよ。」 と言う決まり文句で納得して頂き、相談を終わらせた。 それからと言うもの、何の因果か入ってくる奥様の今日の相談内容の全てが武装神姫がらみ。 最初は全く理解していなかった奥様方も、ジャロの姿、仕草に悩殺され、息子との相互理解 を深めるべく、軽やかにお家に帰って行った。 無論、デスクでもジャロの人気は衰える事を知らず、課の男連中は、帰りに買っていこうか などといい、女性陣はジャロの大好物のシュークリームを上げて、その食べる姿に黄色い 歓声を上げたり…と、大人気であった。 まぁ最後に「今度から間違っても武装神姫を連れて来ちゃダメ」との課長の有り難いお言葉を 頂いた訳だが…。 終業時間となり、俺はジャロと一緒に帰路に着いた。 「きょうはたのしかったのだ!シュークリームもおいしかったのだ!」 「…そうだな、でも今度から背広のポケットで寝ちゃダメだぞ!」 「は~い、わかったのだぁ…。」 ちょっぴり残念そうなジャロ、でも、彼女は気づいていない。昨日、偶然にも俺のポケットで 寝ていたおかげで、理解のない親に半ば強制的に捨てられる神姫達の命を救った事を…。 「お疲れさま、英雄。」 めでたし めでたし。
https://w.atwiki.jp/morigirl/pages/475.html
#ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (top.gif) 期間 9月14日(金)~18日(火)13 0021日(金)13 00まで延長 限定アイテムをGET 条件達成毎にイベントページからアイテムを受け取れるよん ↓ドレスアップイメージはコチラ☆↓ ドレスアップ お化け350匹退治! 【限定アイテム】スイート和柄ミニドレス カテゴリー ドレス 姫 小悪魔 セレブ 交換不可 お化け300匹退治! 【限定アイテム】九尾の狐ぬいぐるみ カテゴリー バッグ/小物 持ち手 右 姫 小悪魔 セレブ 交換不可 お化け250匹退治! 【限定アイテム】バタフライチョーカー カラー ホワイト カテゴリー ネックレス 姫 小悪魔 セレブ 交換不可 オリジナルカラー 小悪魔ガチャ3(パープル) 注意事項 ◆賞品は本イベント期間内にお受け取り下さい。期間外のお受け取りはできませんのでご注意下さい。 ◆賞品はプレゼント出来ません。
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2246.html
ロンド・ロンド あらすじ 中学一年生の河岸塚沙彩は、ある日道端で困っている人形を見つけた。 それは武装神姫、自分で考え、話し、戦う戦乙女の人形であった。 はじめて神姫と触れ合った沙彩はその魅力に惹かれ、自分も神姫のオーナーになりたいと願う。 しかし、子供の財力では到底手が届くわけもなく……。 あきらめかけていた時に従姉の奈々子が入学祝いにと、好きなものを頼んでいいと言ってきた。 神姫と出会った沙彩は趣味の世界でありながら厳しい戦いの舞台へ上がっていくのであった。 登場キャラクターの紹介 第一話 衝撃 コメントやご感想などありましたらこちらにお願いします。 名前 コメント - -
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/215.html
前へ 先頭ページ 次へ 第五話 相対 眼下のサルーンと巡航速度を同調させ、クエンティンは飛んでいる。 雪が前方から真横に吹き付けるが、不思議なことに一粒も彼女へぶつかることはなかった。 風圧のせいではない。彼女の周囲にはエイダにより目に見えないエネルギー膜が張られてあって、それで雪のみならず空気中の埃を払いのけ、さらに空気抵抗を大幅に減衰させてあの驚異的な高機動性を叩き出しているのである。 彼女の顔に当たる風は突風などではなく、ほとんどそよ風程度と言ってよかった。 サルーンとの同調速度から若干落とし、クエンティンは車の斜め後方上空へつく。さらに後方の光点、エイダとおなじメタトロン・プロジェクトのプロトタイプ、彼女のいわば姉妹機にも気を配る。まだ姿は見えない。攻撃してくる気配も無かった。 同調速度へ戻し、相手が接近するのを待つ。先制攻撃は向こうへくれてやるつもりだった。一般に戦闘においては先制攻撃側が有利とされているが、エイダが『問題ありません』と言ったのでそうすることにした。 エイダは姉妹機の武装を知っているようだった。具体的にはやはり情報機密ロックに該当するようで教えられなかったが、エイダは機転を利かせて間接的にアドバイスしているのである。 すると少なくとも相手は、あのアヌビスというやつは攻撃と同時に着弾するようなたとえば直進するレーザーのような武器は持っていないことになる。他の武装は、まあ、後々身をもって分かるだろう。 クエンティンはつい先ほどの、理音と鶴畑興紀の会話を思い返していた。 思い出せば思い出すほど悔しさがこみ上げてくる。 が、神姫に人権はあるべき、無くてよいなどという当為的な議論はともかくとして、人権が無いのは事実であり、また安易に人権などもらってしまえば神姫を趣味のためのツールと考えている人間の自由を剥奪してしまうことになるのもまた事実だった。 それは認める。認めるしかない。 だが、もっと重大な懸念がある。人権が与えられたその瞬間、武装神姫はその存在意義そのものを失ってしまう可能性があるのだ。 たとえば、もしバトルがしたくて神姫を買ったオーナーの元にバトルをしたくない神姫がやってきた場合。神姫に人権が付与されていたなら、オーナーは神姫の「バトルはしたくない」という権利を絶対に守らねばならない。 絶対に、である。理解のあるオーナーならいいが、全員が全員そうだとは限らない。 他にも、「ああしろこうしろ」とむやみやたらに命令することも許されない。 それらを破ったら即刻、神姫に対する人権侵害となる。 所有者が所有物の権利を尊重するという、立場の逆転が起こってしまうのだ。 武装神姫はオーナーがお金を出して買った所有物であり、だから武装神姫はオーナーの願いや命令を聞くのであり、すなわちそれこそが武装神姫なのである。少なくとも武装神姫という商品はそう作られた。 「神姫はパートナーだ」「妹だ」「娘だ」あるいは「恋人です」「女王様でございますうぅう!」などの、オーナーそれぞれの気持ちや理解は関係なく。神姫をどう捉えるかはオーナーの自由だ。 言い切ってしまえば人間の所有物だから武装神姫なのだ。命令を聞かなければ武装神姫として存在している意味が、無い。 オーナーが「君のやりたいようにやるがいい」と言ったとして、言われた神姫が自由にしているように見えても、当の神姫は――意識的であるにしろ無意識的であるにしろ――自由にやりたいことをやっているのではなく、「自由にやれ」という命令を聞いているに過ぎない。 武装神姫は明確な意思を持っているが、しかし人権を欲することはしたくてもできないのだ。少なくとも人の所有物として生まれている今現在は。人権が欲しいなら所有物であることをやめる必要がある。武装神姫でなくなる必要が。 いま、神姫が人間らしい――という表現も、自分が神姫だということをさし引いて考えるならおかしいな、とクエンティンは思った――生活を送れるかどうかは、ひとえにオーナー一人一人の良識に全てが委ねられているのである。 それならアタシは幸せだ。クエンティンは理音に心から感謝した。 心から? うーん、やっぱり神姫に心は、意思はあるかも。少なくともアタシ自身はそう思う。クエンティンはひとまず納得した。 変わって、正義の話に関しては、いささか疑問を感じていた。 『鶴畑興紀の話には条件が必要です』 クエンティンの思考を読んだのか、エイダが答える。そのとおりだ。 彼の『個人の正義は誰にも侵害されず、また自分の正義で他人の正義を侵害してもいけない』という主張は、個人体個人の間でのみ有効な主張だ。 これがもし集団が主体となった場合、彼の主張は一気に崩壊する。 なぜならば、集団の正義は往々にして他集団や他個人の正義を侵害することで成り立っているからだ。 いや、侵害という言葉は適切ではないかもしれない。集団そのものの意識や目的はともかく、集団というものは集団であるということ自体が理由となって、どうあがいたところで他の正義(思想や権利と言い換えてもいいかもしれない)のうえにかぶさる様にできている。 簡単な例を挙げるなら、企業がある。とあるひとつのカテゴリに属する企業は、同じカテゴリにある他企業の正義を押さえつけなければ存在できない。押さえつけなければその企業は死んでしまうからだ。製造販売業ならば、他企業よりも良いものを作って売るという行動がそれにあたり、その行為は同時に他企業を押さえつける行為となる。他企業は押さえつけられたままでは滅びてしまうから、同じようにより良いものを作って、売る。 そのいたちごっこが続く。俗に競争と呼ばれるやつだ。だからこそ技術は発展し続け、消費者はより良い生活ができる。お姉さまは「このケーキおいしくなったわね」と言える。 鶴畑コンツェルンがやっていることはまさに正義の押し売りなのかもしれない。他企業を押さえつけ、自らがのさばる。それを意図的にやっている。 ふと、クエンティンは思った。他の正義を押さえつけることは、すなわち支配ということではないか、と。 「支配者って、自分の正義を他人に押し付ける人のことかしら?」 クエンティンは個人ではなく企業人としての鶴畑興紀をイメージしながら、言葉に出して言って見た。誰に訊いたわけでもない。が、たぶんエイダに訊いたのだろうとクエンティンは思った。 『無条件ならば、そのとおりです』 エイダは答えた。 ならば、私はバトルにおいては自分の正義を他人に押し付けているのだろうか? 『それは違います』とエイダは言った。 「どうして? 私はバトルで、支配者になろうとしているのよ」 クエンティンはエイダと出会う直前に考えていた、支配者になるのだという考えを伝えた。相手に支配していると気づかせない、雪のような支配者になるということを。 『バトルは認められた戦いです』 エイダは即座に返答した。はからずも理音が考えていたことと同じことだった。バトルは認められた戦いであるし、どんなに戦ったところで(神姫に人権が無いことを前提とすれば、たとえリアルバトルでも)死者は出ないから、対戦者同士の正義はぶつかり合わない。 もしぶつかるとしたら対戦者相互の個人的な感情事情のみで、その多くは「自分が勝ったら何々をして(~になり)、相手が勝ったら何々をする(~になる)」というものである。バトルの勝ち負けによりどっちの願望が実行されるかというものだ。 正義という言葉を使うなら「自分が勝ったら自分の正義で相手の正義を押さえつけても良いね」という対戦者お互いの承諾なのである。バトルという行為そのものにはまったく関係が無い。 「……そうかな?」 『そうです』 エイダはさらに続ける。 仮にバトルの中で支配者となったとしても、それは相手の正義の侵害ではなく、バトルの中で展開を有利に運べるようになったというだけなのだ。勝っても負けても誰も死なないから、取り返しのつかないことにはならない。つまりバトル後もそれぞれの正義は続いてゆくのである。 『ただし、戦死者が出る実戦であった場合、意味は大きく違ってきます』 相手を殺さなければ自分の正義の遂行が危ういのである。 実戦とか死ぬとかいう例は大げさだが、これを現実的な事象になおしてみるならば、たとえ個人対個人でも正義のぶつかり合いはある。 間に権利的か利益的、企業的な干渉があった場合(たとえば子持ちの夫婦が離婚したときの親権争い、恋敵同士による一人の女性の争奪戦、どちらか一方しかその企業との契約がとれない場合における営業担当同士の交渉戦、など)、負けた側は自分の正義、あるいは願望を貫けないのだから戦わざるを得ない。 この部分が鶴畑興紀の主張に足りない。と、エイダは言った。たとえ個人でも、正義がぶつかるときがあるのだ。 正義を物質みたいに扱っているな、とクエンティンは感想を言った。死んだらその先に物質は持っていけないというわけか。 でも、自分自身に即してみるならば、と、クエンティンは考える。神姫に人権が無いという事実は置いといて、リアルバトルで破壊される、死ぬ、のはやっぱり嫌である。もうお姉さまとお話もできないと考えると、途方も無く恐ろしかった。人工知能基本三原則の自己保存でもあるが。 そのリアルバトルを今からやるのだよな。 改めて考えると、クエンティンは突然言いようの無い恐怖におそわれた。 メインジェネレータ、人間で言う心臓のあたりの鼓動が早くなり、全身の駆動部分が陽電子頭脳からの微弱なパルスを感じてぶるぶると震え始める。クエンティンはつまり怖さで縮み上がっているのだ。 負ければ壊される。死ぬ。という恐怖。リアルバトルをやるのは初めてではない。ついさっきだってあの一つ目どもとさんざリアルバトルをやったばかりだ。 なのに、この恐怖は何だろう。やめたい、やりたくない。死にたくない。あのサルーンの中に今すぐ取って返してお姉さまの胸に飛び込みたい。 「うっ……」 引きつった声が漏れた。声だけでなく、股間部の排出口から廃熱を吸い取り切った古い冷却水も漏らしてしまいそうだった。 やばい。このまま戦ったら負ける。確実に。 『感情回路の異常を感知。沈静プログラムオープン』 エイダが報告。 すると、途端に恐怖が薄らいでゆく。全身をすっきりした感覚が走り、ジェネレータの鼓動は平常に戻り、震えも止まった。 「あ、ありがとう、エイダ」 『どういたしまして』 鎮静剤を打たれたのと同じようなものだな、と思いながら、クエンティンはお礼を言った。彼女がいなければこのままちびっていたかもしれない。 「あいつは? アヌビスは」 『変化はありません』 後ろを振り返る。光点はまだ動いていなかった。さっきから同じ速度で追いかけてきている。接近するそぶりは無い。 「まだ仕掛けてこないなんて……。おかしいな」 そう言った瞬間だった。 光点がふっ、と消えた。 「えっ!?」 『警告、脅威接近、オンザノーズ!』 エイダが叫ぶ。 ギュバッ! 聞いたことの無い奇妙な音とともに、目と鼻の先にそいつが現れた。 ピンと立った細長い耳のようなアンテナのついた、犬とも狼ともつかないフードのようなヘッドギアをかぶった神姫だった。ハウリンではない。ハウリンのはこんなに鋭角なヘッドギアではないし、なにより目が隠れない。その神姫の目は見えなかった。ヘッドギアの側面から後頭部にかけて覆うように薄いレースのようなものが首まで垂れている。 背中に八枚の羽のようなユニットを浮かばせ――背中にくっついていない――、腕を組み、右手に錫杖の形をした長い得物を携えていた。 ボディの色は今のクエンティンよりも黒に近く、胸部の球体から赤いエネルギーラインが全身に渡っている。 静かな威圧感が自分をわしづかんだように、クエンティンは感じた。 『離脱してください!』 「はっ!?」 我に返ってバックブースト。左手でエネルギーシールドを張りつつ、クエンティンは間合いを取る。 攻撃されていたら間違いなくやられていた。なぜ攻撃してこなかったんだろう。やはり捕獲するためなのだろうか。 『MMSタイプ・アヌビス、「デルフィ」です』 「あいつが……!?」 瞬間移動してきた。リアルで。ありえない! 一体どんな原理が使われているんだろう。 『ゼロシフトです』 「え?」 『いまの瞬間移動のことです。エネルギーバリアの空気抵抗減衰能力と空間圧縮技術を応用し、現在位置と移動先の空間を圧縮することで短距離の超高速移動が出来ます』 「ちょっ、ちょっと待ってよ、あいつの武装データはロックが掛かってるんじゃないの?」 『デルフィの武装データはセンサーで確認した場合公開されたとみなし、その武装に関するロックが無効になります』 つまり奴からのあらゆる攻撃は一度見なければ情報ロックが解除されないというわけだ。 「それじゃあ分からないのと大差ないじゃない……」 避けられればなんとかなるが……、所見の攻撃の回避率が総じて低いことは経験で知っている。 しかしこれでもエイダはなんとか機転を利かせてがんばっているのだ。 「ノウマンって奴、恨んでやるわ」 クエンティンはロックをかけた顔も知らない責任者に、頭の中でパンチを食らわせた。 デルフィの表情は変わらない。唯一露出している唇は結ばれたまま、ピクリとも動かなかった。 表情や仕草から意図を読むことができない。クエンティンはバトルの際そうして戦ってきた。どんな行動にも予備動作というものが必ずあり、ほとんどの攻撃はそれで対応できたのだ。 こんなにも先の読めない敵は初めてだった。いや、正確に言えば初めてではない。エイダとの融合前の、一つ目との戦いもこんな感じだった。融合後は性能差で勝てたに等しい。 クエンティンはまだ、この融合後のボディに慣れきっていなかった。 奴の意図はなんだろう。自分を壊すのか、拉致するのか。 どちらであれ、いやだった。 『目的地まであと二分です』 エイダが報告する。 ギュバッ! 同時にデルフィは瞬間移動。クエンティンの目の前に出現する。 右手の錫杖がしゃらりと鳴り、横なぎに払われる。 「ぐっ!」 とっさシールドを張って重防御。にもかかわらず鈍器で殴られたような衝撃が全身を揺さぶった。シールドの衝撃吸収機能がほとんど役に立っていない。 『距離をとって戦ってください。近接戦闘は危険です』 言われきらないうちにクエンティン、バックブースト。 ガ、ガシォーン! ホーミングレーザーを放ちつつ距離をとる。サルーンと並行しながら動かなければならないから、制御が難しい。平行飛行の操作をエイダに委ねる。これでさほど気にならなくなるが、サルーン側へはすばやく移動することが出来ない。 ヅシャシャシャ! デルフィはシールドを張りつつ錫杖をぐるぐると回転させ、レーザーを防御。レーザーは一発も有効弾にならない。 グヴィーンッ デルフィの背中から何十本もの、血のように赤いレーザーが射出された。 『ロックオンレーザーです』 エイダが言った。 しかし、鋭角的にのたうちながら迫ってくるレーザーに、クエンティンはどう避けたらよいか見当が付かない。 『可能な限りひきつけ、前方へブーストしてください』 すかさずエイダのアドバイスが飛ぶ。 「可能な限り引き付けて、って……」 四方八方から迫るレーザーを見渡し、さらに間合いを取ろうとしながらクエンティンは怖気づいた。 「抜ける隙間がない!」 クエンティンはシールドを最大出力で展開、四肢を踏ん張って耐える態勢に。 着弾。 左手がばらばらに砕け散るかと思うほどの振動がやってきた。クエンティンは目をつぶってしまう。 レーザーの嵐は止まらない。ロックオンレーザーを時間差で撃ちつづけているのだ。それでも一撃一撃が重かった。 姉妹機のくせして、アタシはこんなに撃てない! 射撃がやむ。かろうじて左手は砕けなかった。 うっかり気を抜いてしまい、そのままシールドを解除する。 『攻撃警告!』 ギュバッ! キスでもしてしまいそうなほどの近くに、デルフィが出現した。 気を取り直す間は与えられなかった。 ドツッ! 錫杖が振り下ろされ、左肩口に痛打。 「ぎゃうっ!?」 異常なパワーをクエンティンは感じた。左肩装甲にひびが入る。 そのままデルフィは錫杖を振り回してうずくまるクエンティンを文字通り袋叩きにしてしまう。 右わき腹から左大腿、胸部、右腕部、左すね。回避するタイミングを逃したクエンティンは、手足をちぢこめて耐えるしかない。 一撃で倒すことはしなかった。デルフィはわざと急所をそらして殴りつけているのだ。それでクエンティンは、こいつは自分をさらっていこうとしているのだと分かった。 こんなところで黙ってさらわれるわけには行かない。 「うわあーっ!」 ブレードを跳ね上げる。 「!」 ギュバッ! デルフィはゼロシフトで離れる。口元がやや開いている。意外な反撃に初めて驚愕の表情を見せたのだった。 クエンティンは高速の思考でエイダに指令。 〝エイダ、一番簡単なサブウェポンを手動で出して!〟 〝しかし、多大な負荷がかかります〟 〝いいから早くやって!〟 エイダは手動プログラムを開始。途端にクエンティンの頭部から煙が上がり始める。この時代において容量、計算速度、冷却効率そのどれをとってもトップクラスのスペックを誇る陽電子頭脳に、その許容をはるかに上回る負荷がかかっていた。これでいて最も軽いサブウェポン一つを呼び出しているのだ。 頭痛ががんがんと暴れだしたがクエンティンは耐えた。 右手の平にいくつもの小さな螺旋が出現。それらは銀色の球体となって顕現する。 クエンティンは球体を握り締めると、腕をぶん回し、デルフィに向けて投げつけた。 サブウェポンを使われるとは考慮していなかったのか、デルフィは瞬間移動で回避することなく球体を当てられた。 球体はデルフィのボディにくっつくと、ボディと反対の方向に細長い光を放出した。 ゲイザー。 球体の強力な推進力により対象を拘束するサブウェポンである。 『鶴畑家対空ファランクス砲の射程範囲に到達しました。進行方向へシールドを展開してください』 クエンティンは言われたとおりにする。 直後、サルーンの向こう側からオレンジ色に光る筋が高速で飛来した。筋の正体は五発に一発装填されているファランクス砲の曳光弾である。 空気を切り裂く音が繋がって聞こえる。毎分六千発以上の高速射撃により、辺りは鉛の雨と化した。 二十ミリという大口径ライフル弾の衝撃を、クエンティンのエネルギーシールドは完全に吸収していた。もはやこれは武装神姫なんかじゃない、れっきとした兵器で通用する、とクエンティンは思った。それはたぶん当たっているかもしれない。人工知能基本三原則は付け忘れたのではなく、きっと最初から付いていなかったのだ。自分が死にたくないと思ったのは自分の感情であって、きっと三原則は影響していなかった。 エイダは答えなかった。回答不能なのかもしれない。 それに、三原則無しで死にたくないと思った私は一体なんなのだろう? ゲイザーによりシールドも展開できないデルフィは、無数の銃弾を浴びて火花を散らして墜落し、見えなくなった。 あんなものでは傷をつけることもできないとクエンティンは推測した。きっといまシールドを切ったとして、二十ミリ弾ぐらいではこのボディをぶっ壊せないだろう。あいつ、デルフィも同じだ。エイダとは姉妹機なのだから。 シールドを張りつつクエンティンはサルーンへ戻る。 サルーンはそのまま巨大な正門をくぐり、屋敷の敷地内へと消えていった。屋敷は煌々と明かりが点いていた。 その後二分間、デルフィが墜落したとされる範囲に射撃は継続された。二門のファランクス砲から発射された弾丸はのべ三万発以上にのぼった。 追撃は無かった。 雪が降り続いていた。 戦いの跡も、三万発の鉛の雨のえぐった地面も、すべからく雪の支配する世界に覆われた。 屋敷の明かりが一つ、新たに灯った。 つづく 前へ 先頭ページ 次へ
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/25.html
武装神姫のリン 第2話「初めてのプレゼント」 今日はリンがウチにやってきてからちょうど3週間だ。 起動直後はプリセットの礼儀正しい口調、素直な性格であったが、武装神姫の学習機能はかなり優秀らしくこの頃は素直な性格はそのままに、だが時には俺に甘えたり、文句を言ったりもする。こういった変化もほほえましかった。 「マスター、おかえりなさい。」 「ただいま。」 俺は靴箱に上って俺を迎えてくれたリンの頭を指でなでてやる。 リンはうれしそうだ。 「そうだ、お土産だぞ。」 「えっ、何かあったんですか?」 今日は同僚の気まぐれで以前共同購入したロトくじが当選。とは言ってもせいぜい10万なのだが。 4人で1組購入したので1/4の配当だ。 仕事が終わってからは件の同僚3人と飲んでいたがリンのことが気になり早めに抜けることにした。 そうして予想外の収入を手にした俺が帰りに向かったのはリンを手に入れた家電量販店だ。 とりあえずは自分の仕事で必要なセキュリティ機能つきのフラッシュメディアのお得なパックと今まで使ってきたモノとはランクの違うちょっと高めのインナーイヤホンを購入。それでも分け前の半分以上が残っていたの何かリンに買ってやろうと思った。 最初に向かったので玩具コーナー、とは言っても武装神姫が置いてあるコーナーではなく8歳~のこども向けの製品のあるフロアだ。 そこで俺が吟味するのは今でも絶大な人気を誇り、続編も次々開発されているポ○モンのフィギュアだ。 その中でもリンが好むピ○チューは初期の作品のキャラクターの中でも特に人気がある。 海外でもその名を知っている子供はとても多い。 ゆえに人気商品なのではあるが、幸いブラインドボックスの製品ではないので余計な買い物をする心配が無い。 次は本命、武装神姫のコーナーに行く。 最近は需要に供給が追いついたようで以前のような混雑は感じられない。 リンを購入した時は人が多くてじっくり見ることが出来なかったほかのモデルも一応目を通してみる。 確かにほかのモデルも魅力的で購買意欲をそそられるが、いまは我慢する。 まだリンでさえウチに来てから1ヶ月たっていない。そんな状況で2体目を買うのは少し早い気がした。 ということで武器セットの「ヴェッフェバニー」と他社製品なのでもちろんメーカー側は組み換えを推奨してはいないが、サイズ的に互換性のある武器や雑貨のパックを買ってみた。 それでもまだまだお金は余るので俺は思い切って路線は少し違うが、各種フィギュア、アニメ・ゲームグッズを扱う店の揃う電気街に行ってみた。 で俺が足を運んだのは本物のドールや可動フィギュアのパーツ、衣装などを販売する専門店だ。 以前友人がここなら武装神姫に会うサイズの服が簡単に手に入ると言っていたのだ。 で店内にはいるが俺は少し身震いしてしまった。 美少女フィギュアぐらいなら量販店でも多少は目にするがここはそういったコーナーよりももっと重い、というか濃い空気が漂っている。 閉店時間が近いためか客の数はまばらだが、俺とは違った雰囲気をかもし出している。 そんな中を俺は急いで衣装コーナーへ。 そこにはありとあらゆる衣装が10~20cmサイズで並んでいる。セーターやブラウスといった制服系からマニアックなモノまで網羅されていた。 さすがにリンに過激な衣装を着せるわけにはいかないのでおれはブラウスと黒いスカート、そしてソックス。 ここまで着たらトコトンまでといった感じでリボンと靴をカゴに入れる。 まあ武装神姫を着飾るのも流行っているそうなので、この程度ならだいじょうぶだろう。 そうして選んだ製品をレジに持っていくとキャンペーンを行っていたらしく、同スケールのクローゼットとハンガーのセットを半額で提供していると聞いて思わず買ってしまった。少し高価ではあったが新品の服を適当に置いておくことは忍びなかった。 残金はというと、4000円。まあこんなものかと納得して家路についたがその店を出てからというもの電気街のストリートを歩いているとなんとなく視線を感じた。 やはりスーツ姿でああいう見せから出てきたからであろうか、目立つ店名の入った紙袋をもっているからだったのかもしれない。 こんな感じで無事、リンへのプレゼントを持って帰ってきたわけだ。 自分より二周りも大きい袋にリンは目を丸くする。 「こんなに大きなモノを・・・どうかされたんですか?」 オレはリンに事情を説明する。 「そんなことが…それは良いのですが、いつもの時間に帰ってこないので少し心配しました。」 「ごめんな、次からはメールとかするから。PCでメールの見方は分かってるよな?」 「はい、次からはちゃんと連絡してくださいね。」 「ああ、分かったよ。」 こんな会話をしているとなんだかへんな気分になってくる。 そう、たとえるなら新婚の夫婦なのだ。夫が気を利かせてプレゼントを買って帰ったが、連絡がないままいつもの時間に帰ってこないので心配する嫁。想像したらとても恥ずかしくなった。 恥ずかしくて顔が熱くなるのを感じた俺は話題をそらす。 「なっ、プレゼント見てみろよ。びっくりするぞ~」 「マスターがそんなに言うなら、見ちゃいますね。」 そうして自分の目の前に置かれた、人間にたとえれば6・7人向けのテントぐらいのスケールであろう紙袋の中の中を覗き込むレン。 次の瞬間にリンの顔が沸騰したかのように赤くなった。 「なっ、マスター!! これは何ですか??! 白いヒラヒラの服・スカート、リボン、、、、、ソックスまでぇ~~」 なにやら想像したものとかなり違った物体が入っていたため相当混乱しているようだ。 「……大丈夫か? ただな・・・リンもオシャレとかしてみたら良いんじゃないかな??と思ったから。」 「はぁ、確かに先週テレビでやってたコンテストはすごく綺麗な娘がいましたけど……」 「心配ない、お前は十二分に可愛いよ。絶対に似合う。そうじゃないと万札をはたいてまで買ってこないぞ」 と素直な気持ちを言葉にしてみたが、言った俺の方が恥ずかしくなってくる。 リンもそんなことを唐突に言われたため、普通に戻りかけてた顔がまた真っ赤になる。そうして2人して顔を赤らめたまま数分が過ぎた。 「リン、とにかく一回着てみてくれるか?」 こんなことをしていても仕方がないので俺の方から話を切り出す。 「は、はひ。 分かりました。」 リンはまだ恥ずかしいらしく呂律が回っていなかった。 買ってきた服のパッケージを開けて、サイズを確認する。 「武○神姫にも完全対応」と歌われている製品だけにサイズはぴったりだった 「これの着方は分かるか?いちおう説明書に書いてるんだけど。」 「えっと、大丈夫です。分かります」 「じゃあ自分で着てくれ。俺がやったら着せ替え人形みたいになっちまうから。」 「わかりました。少し待っててくださいね」 てきぱきとプレゼントの服を身にまとうリン。 ブラウスに腕を通し、スカートを身に着け、ニーソックスに足を通す。そこでレンは違和感に気が付いた。 「マスター、あの……下着は??」 !!!!!!!!!!!!!!! 俺は飲みかけていたお茶を一気に噴出しそうになり、それを我慢したのはよいが飲み込んだお茶が気管に少し入ったらしく激しくむせる。 「大丈夫ですか! マスター!!」 なんとか生き地獄から脱出した俺だったが、リンは何もできなかたのが悔しいみたいだ。 「マスター。ご無事でなによりです。」 顔のすぐ横にリンが座って俺を心配してくれる。 「ああ、もう大丈夫。 ごめんな、店の雰囲気に圧されて下着まで頭が回らなかった。」 「いえ、気にしてません、元はといえば私は最初からスーツをきているんですよね。私もうっかりしてました」 俺が起き上がるとリンは最後にお願いをしてきた。 「あの、リボンなんですが自分では結べないので、お願いします。」 快く俺は引き受ける。 モデル「ストラーフ」はツインテールがデフォ状態だが、オーナーの好みでショートカットにすることが可能だがリンは俺の好みでツインテールのままにしている。 その薄い蒼の髪を留めている黒いリボン(とはいえコレは樹脂パーツで髪を通すだけで固定されるようになっている他、ショートカットの状態で使えば武装をマウントするためのサポートパーツにもなる)をはずして、純白の綿100%のリボンを結んでやる。とても小さなサイズなので少し苦労したが以前からプラモデルを弄ることで細かい作業に慣れていたのでちゃんと結んでやれた。 「よし、コレで良いぞ。 鏡見てみろ。」 俺はいつも使っている手鏡(コンタクトレンズの洗浄剤についてきたオマケだがレンのサイズにはぴったりだ)をリンの前に置く。 リンは鏡に映る自分のいつもとは違う姿をまじまじと見つめ、急に振り返ったかと思うと俺に聞いてきた。 「あの……似合いますか?」 控えめな表情で、上目遣いでたずねてくる。 白いブラウスに黒いミニスカート、そしてまた白のニーソックスとリボン、そしてアクセントとしての赤い靴。 極力シンプルにと選んだのが、予想した以上に似合っていたので俺は声が出ない。 「あの?マスター?」 「ああ、似合ってうぞ、想像以上だ。」 「ありがとうございます。なんだか私じゃないみたいですよ、コレなら街に着ていきたい位です。」 「気に入ったんだな~ 最初は着てくれないかと思ってヒヤヒヤしたぞ。」 「そんな、マスターに貰ったものを着ないなんて考えられません。でも変なのは嫌ですからね。」 「わかってる、って言うかそんな服を買うような冒険はしたくない。」 「でも…可愛い服があったらまた買ってくださいね。」 「ああ、もちろんだ。」 その晩、リンはずっと俺が買った服を着ていた。 そして寝る前にクローゼットを寝床の横に置いてやった。リンはせっせと服をハンガーにかけて収納していく。 俺の机の上はリンの『お部屋』になっいるようだ。 そうしてお片づけがわってすぐに就寝。 夜は更けていった。 翌日、寝坊したので朝食を抜き、急いでスーツに身を通してかばんを持って家を出る(リンへの挨拶は忘れていない)。 そうして何とか会社に定刻より10分遅れ(遅刻ギリギリ)で着いたのだが…… かばんに入っていたのは必要な書類、これはだいじょうぶだ、だが肝心のフラッシュメモリーが見当たらない。 寝る前にデータを古いモノから全て転送し、スーツのポケットに入れておいたのだが…… 改めて己の姿を見ると昨夜と違うスーツを着ている。 やってしまった!!と気づいても時すでに遅し。 そうして大切なデータを忘れたため部長に叱られたが、たまにはこんなのもいいと思う俺であった。 ~燐の3 「イベントへ」
https://w.atwiki.jp/nekokonomasuta/pages/6.html
【武装神姫 MMS,Type DOG】 【HOWLING】 「無駄です。私の狩りからは逃れられません」 その身に宿すは、獣の感。その身に宿すは、調教された冷徹な理性 其れは計算しつくされた、戦いと言う名の無情な狩り 戦う理由は、主人の為。其れが全てと言うのなら 我ら、人と共に生きる獣なり 『犬型MMS ハウリン-吼凛-』 ハウリンはマオチャオ、ヴァッフェバニーと共に、第二弾として発売された武装神姫だ。 犬をモチーフにしており、高い走破能力と冷静に戦術を組み立てることを得意し、ぷちマスィーンズを使役する能力も持つ。 また【頭甲・咆皇】犬並みと言われる聴覚センサーと嗅覚センサーを搭載しており、これにより索敵能力は現在の所随一である。 上半身は可動を犠牲にまでした程の重装甲、下半身は走破能力を第一に考えた軽装甲と独特コンセプトで構成されている。 戦場、戦況を選ばない高いオールラウンド能力を持つが、その分一撃に欠けるとの評価もある。 【基本能力】 ハウリンは戦術のプロフェッショナルである。 そのため戦闘基本値に以下の修正を得る。 【射撃基本値】(+3) 【格闘基本値】(+2) 【回避基本値】(+3) 【特殊】タクティカル・ポイント【TP】(×1,5) 《ぷちマスィーンズ》習得済 射程6~10の【威力】(+1) 【技能】 ハウリンはキャラクター製作時に、以下のリストから技能を3つ習得できる。 また経験を積んでキャラクターレベルが上昇した場合、偶数レベル(2,4,6,8……)に到達する度、新しい特殊技能をひとつ、修得できる。 ハウリン 技能リスト 《追加HP》 《一斉発射》 《ウェポン習熟》 《緊急回避》 《逃走》 《シールドブロック》 《追加SP》 《反射神経》 《連携攻撃》 《タフネス》 《突撃》 《不死身》 《SP回復》 《鉄壁》 《間接砲撃》 《待機攻撃》 《複数目標攻撃》 《掃射攻撃》 《狙撃》 《回避フォーメーション》 《高速移動フォーメーション》 《速攻フォーメーション》 《集中砲火フォーメーション》 《防御フォーメーション》 《砲撃フォーメーション》 【基本性能】 【射撃修正】(±0) 【センサー性能】(±4) 【速度】(7) 【格闘修正】(±0) 【装甲値】 ( 6 ) 【旋回】(3) 【回避修正】(±0) 【HP】 ( 22 ) 【パワー】 ( 6 ) 【格闘武器】 名称 /威力/格闘補正/使用回数 格闘 / 7 / ±0 / ∞ 吼莱一式 / 10/ -3 / ∞ 【射撃武器】 名称 /威力/~5/~10/~15/~20/使用回数/間接/連射 吼莱一式 / 11/-7/ -5/ -12/ -/ 6M / ○/ × プチマスィーンズ(*1) / 6 / +5/ +5/ +5 / +5 / 6 / ○/ × (*1)『牽制攻撃』 通常攻撃に先行して攻撃。但し弾数2発使用。 その場合【威力】(-1)、続けての攻撃の【命中】(+2) 『自立型』 射線が通らなくても射撃可能。全方位攻撃可能。 【カスタムデータ】 【部位】 /【CP】/ 【名称】 /【効果】 頭部 / (0)/ 頭甲・咆皇 /《センサー性能+4》 胸部 / (2)/ 胸甲・心守+腕甲・万武 /《HP+2》 《装甲+2》 《指令マスィーンズ設置機能》 《格闘威力+1》 《追加ラック×2》 脚部 / (2)/ 脚甲・狗駆 /《装甲+1》 《速度+2》 背部U / (0)/ / 武装 / (1)/ 吼莱一式 武装 / (0)/ ぷちマスィーンズ 計 /( 5 )
https://w.atwiki.jp/eikatsu/pages/679.html
ランドリート島メインイベント(未) コルトレカン島メインイベント(未) アノーレ島メインイベント(未)
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1056.html
第2話 「開始」 チビ悪魔と暮らす事を決めた次の日。 まずはブソーシンキ…「武装神姫」について無知極まる俺に対するお勉強から始まった。 チビ悪魔の長ったらしい説明をかいつまんで話すと、武装神姫ってのは「EDEN-PLASTICS」っていうバカデカい多国籍企業が去年……つまり2036年に発売してから爆発的な大ブームになったオモチャのこと。 しかしたかがオモチャと侮るなかれ、そのシェアはいまやとんでもない規模らしい。 このチビ悪魔を作った「島田重工」は元々航空機用だの工業用ロボットだのの製造で有名な大会社だし、他にも国内有数の製鉄会社「篠房製鉄」や世界的トップデザイナーが起業した「GOLIフューチャーデザイン」、トドメにゃヨーロッパ系軍事産業の勇「カサハラ・インダストリアル」までもが参入して、今現在も続々と関連企業は増えているという。 ……正直言ってビックリしたってぇか呆れたね。 世界は平和だ。 で、そういうオフィシャルメーカーから色々発売されている専用パーツはもとより、アンオフィシャルのオモチャさえ流用可能という拡張性の高いカスタマイズ性(チビ悪魔によると『公式アナウンスは出来ないけれど世間では暗黙の了解』だとか)が人気を呼び、さらにはネット上での登録によるイメージカスタマイズやドレスアップコンテスト、神姫同士を戦わせるバトルサービス……なんてのもあるそうだ。 ハイテクな話にはあまり興味もなく、アレコレと関係ない話で混ぜっ返しながら聞く俺に、根気よく話してくれたチビ悪魔の根性はたいしたモンだった。 話が一段落したあたりで、オレンジジュースを一口。 俺は百均で買った紙コップ(後で洗うのがめんどくさいから)だが、コイツには手ごろなサイズのコップなんか無いんで、ペットボトルのキャップだ。 んくんく、と器用にジュースを飲んでいる悪魔を見て、ふと思いついた事を口にしてみる。 「それにしても、お前って悪魔タイプなのに礼儀正しい喋り方だよな。 神姫ってみんなそうなの?」 「いえ、出荷時にランダム設定されますので、性格は個体ごとに違います。 無邪気な子や大人しい子、元気な子、悪戯が好きな子、オシャレが好きな子、バトルが好きな子、嫌いな子……様々です」 「ふーん。 で、お前はどんな性格なワケ?」 えっ、と一瞬口篭もったあと、おずおずとこっちを見上げてきた。 「……あの、笑いませんか?」 「んにゃ、別に」 「……その……バトルに興味が……」 「へー意外」 「笑わないって約束したじゃないですかぁ!」 「いや笑ってない笑ってない。 なんか掃除とか洗濯とかのお世話関係が好きそうかなーって思ってただけで」 「そういうのも嫌いじゃないです……というか好きですけど、『特訓』とか『パワーアップ』という言葉には憧れがあります」 …つくづく意外だ。 いや、「実は好戦的」ってのは悪魔らしいというべきなのかね?